いまいち、納得がいかないネットニュースを見つけた。
要約すると「俺は全然面白く感じないんだけどね」「ガキに受ける理由はクリーンさと王道感、動画技術向上や収入増加が目に見える人生ゲーム的な成り上がり感だよね」「ま、俺はつまんねーと思うけど」みたいな分析。なんだか腹たったので、誰に頼まれるでもなくヒカキンにどハマり中の大人の私が、勝手に自分がファンになった理由と彼の魅力を熱く語りたいと思う。
テレビタレントが好きか、YouTuberが好きか
ヒカキンの人気云々の前に、まずはこの記者はYouTuberの魅力を理解していない気がする。テレビタレントよりも華がないトークのキレがない、動画の技術がテレビ局のカメラマンや編集の専門家よりも劣る、企画がテレビの構成作家の方がうまい、テレビ局のディレクターが監修した番組の方が面白い、テレビ局の美術が一週間かけて作ったスタジオの方がにぎやか。。。そんな風に比較することは、いくらでもできる。でも、そもそも百人近くの専門家が一週間かけて作った30分番組と、たった一人が全ての責任を請け負って1日で作った10分番組を比較すること自体がナンセンスで、全く別物。
このおじさんは、受け手が「テレビタレントとYouTuberは全く別のもの」だと思って見てることを、理解してないんじゃないかなぁ。
全く別物だけれど、子供達の将来の夢から芸能人が消えてYouTuberが台頭したように、テレビタレントよりもYouTuberの方が魅力的だと今の若い世代思っている。若い世代がどう思ってYouTuberを推してるかはわからないけど、少なくとも私が感じている魅力を整理したい。
画面に映る人が、一番やりたがってる人という魅力。
YouTuberの仕事の8割は、企画立案・調整・撮影・編集などの裏方仕事。一方で、テレビ番組は、基本的には制作会社のプロデューサーやディレクターが視聴者に受けそうな番組を企画して、その企画にあったテレビタレントにオファーする。もちろん、テレビタレントはおしゃべりのプロだし、超イケメンだったり美女だったりするから楽しいんだけど、番組の中心を担う人気MCすら、画面に映る中心人物というだけで、「カット」の合図でその場からいなくなる、「頼まれて出ている人」。テレビに出たかった人であって、その企画・内容がやりたくて仕方なかった人というわけではないように見える。テレビだけを見ていた時には疑問に思わなかったけれど、YouTubeと並行して見るようになって、トップユーチューバーたちの動画へのクレイジーな熱量を動画を通じて知り、違いが見えるようになった。
もちろん、不夜城で有名なテレビ局にもクレイジーな熱量を持っている裏方・番組・企画の責任者は沢山いるんだろうけど、彼らが表に出てくることはない。
YouTuberは自分の責任で、ファンが本当に楽しいと思うことを発信して、輝いてる人たち。
よく、テレビでYouTuberにテレビタレントが「編集で深夜遅くまで毎日仕事なんて大変じゃない?」と言うけれど、それはタレントがディレクターやプロデューサーやカメラマンや編集マンに「どうして裏方やってるの?出ればいいのに」と言ってるようなもんじゃないかな。全く違う魅力があるのに。
「自分が絶対面白い・イケると思った企画を、自分が主人公になった動画で、自分が面白いと思うカットで動画にして、面白いと思う編集をして、世界中に発信する。それでみんなを幸せにしてお金をもらう。」
YouTuberが毎日やっていることは、テレビ業界の構造上、タレントが実現することは永遠に不可能。裏方側に専念すれば何年も経てば、いつか望み通りの番組は作れるけれど、そこに自分は映らない。身の丈の大きさでいいから、自分がやりたいことができる、自分が主人公のテレビチャンネルを作ろう!という立場の方が、はるかに夢がある。ヒカキンは、その夢の象徴の一つになったんじゃないかな。
なぜヒカキンがKing of YouTuberなのか
日本のYouTuberの原点
ヒカキンは、当時子供達に流行り始めていたボイパ動画で日本の小、中学生のヒーローになり、海外アーティストの目に止まって海外のフェスに呼ばれるまでになった。YouTubeだけで食べていけるようになった初期のYouTuber。どんな分野でも、黎明期のオピニオンリーダーは尊ばれるように、彼の姿に憧れ・背中を追い、彼を超えようと新しいYouTuberが生まれて行った。そういう歴史を知ってるから、どうしても私も彼を尊敬の目で見るわけです。
常に保護者を見据えた視聴者(子ども)目線
ヒカキンは、ターゲットを小、中学生にしていると明言している。少しサーチすると「子どもに見せていいと思っているのはヒカキンの動画だけ」という母親のツイートが結構見つかった。今、母親が家事の間の子守りをYouTubeに任せるのは当たり前になってる。再生回数が収入に直結するため過激な動画が溢れやすいYouTubeで、あえて、子供目線ながら刺激を抑えた、穏やかな動画を毎日配信することで、子どもだけじゃなく、子どもの親の信頼も勝ち得た気がする。大人から見たらちょっとしつこい(笑)クスッと笑える変顔も、子どもたちの大好物。ヒカキンには画面の向こうの子供達の笑顔も、その隣のお母さんの安心した顔も見えているんだろうな、というのが、見ててわかるからとにかく癒されるのです。
とにかく今の私の癒し。白米。
子どもでも、母親でもない私がなんでヒカキンにハマってるかというと、クスッと笑える楽しさと癒しです。凝った企画や構成ならはじめしゃちょーのが秀でてる気もするし、トークは仲間との掛け合いを得意とするグループやコンビの新しいYouTuberのが面白い。ブラックな笑いを得意とするYouTuberだっている。でも、別にヒカキンにはそんなことは求めてないのです。
ヒカキンに求めてるのは、見てて「ああこの人本当に視聴者が好きでたまらないんだな」という姿勢。子ども向けを意識して徹底して倫理的に動画を作ってる安心感と、溢れる笑顔、どこまでも優しい人柄。もちろん動画や編集テクニックは年々上がってるし、視聴者に合わせたキャラクターを作り込んでいるのもあるけれど、そんな小手先のことじゃないですよ。
地味で、派手なことやらない、控えめな動画でも、YouTubeや仲間のYouTuber、そして視聴者に対してものすごい思いやりを持って日々仕事してるし、それを本当に楽しい、幸せだと思ってくれてるのが伝わってくるから、見ててとても気持ちが良いのです。
ヒカキンの動画見るのは、ヒカキンに会いたいから
凝った動画が見たいなら、新進気鋭のYouTuberの動画見ればいいし、動画の予算で行ったら、テレビ番組見ればいいんじゃい。ヒカキンに会いたいから、みんなヒカキンの動画見てるのよ。
ロシナンテの日常記録
面白かったこと、楽しかったこと、考えたことの記録。
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